皆さん、「つばさ大家族主義(本誌P9)」は既にお読みになりましたか?
そのページでは「つばさ大家族主義」になるための「職場の在り方」や「上司・先輩の在り方」について解説されています。
今回はその中で「厳愛と慈愛」それぞれをより理解いただければと考え、本内容を執筆しました。上司・先輩としてどのような「在り方」が良いのかこの記事を読んで考えてもらいたいと思います。
1. 釣り方を教える
ノルウェーには「子どもを一日生きさせたければ魚を与えよ。子どもを一生生きさせたければ魚の釣り方を教えよ」ということわざがあります。皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれませんね。
このことわざの意味は、「お腹を空かせている人に魚を与えると、その場の空腹は満たすことができる。しかし、釣り方を教えなければ、お腹が空くたびに誰かから魚をもらえないと生きていけないことになる。目先のことを満足させることは相手のためにならない」ということです。部下・後輩のためになる指導とは、「釣り方」を教えることなのです。
あれこれ世話を焼きすぎると、自分ひとりでは何もできない社会人に育ってしまう危険があります。たとえば、部下が『会議の内容をまとめるためにはどうすれば良いですか?』と質問した場合、魚を与える上司・先輩は『議事録っていうのがあってね……こうやるんだよ……』と答えます。しかし、毎回教え続けると、部下はいつまでも上司・先輩に頼りっぱなしになります。一方で、釣り方を教える上司・先輩は、『じゃあ、一緒に調べてみようね』と言って、本やネットでの調べ方を教えます。そうすることで、部下・後輩は「調べる」スキルを身に付けることができ、本の読み方も学びます。そして次第に知識や興味が広がり、疑問や課題が生じたときには自ら調べる習慣が身に付くのです。
一見、魚を与えるほうが簡単で楽な場面もあるかもしれませんが、実は釣り方を教えることが部下・後輩のためになるのです。上司・先輩が即座に答えを教えず、問題や困難を解決してあげるのではなく、答えの導き方を教え、考えさせ、解決の手段を身に付けさせていくことで、部下・後輩は自己成長し、自律的な人財となるでしょう。
2. 共に殻を破る
禅の言葉に「啐啄同時」(そったくどうじ)という言葉があります。卵の中のヒナが殻をコツコツつつくことを「啐」、その時、親鳥が外から卵の殻をコツコツつつくことを「啄」と言います。鳥の雛が卵から産まれ出ようと殻の中から卵の殻をつついて音をたてたとき、親鳥がすかさず外から手助して殻を破ることで、雛と親鳥の行動が一致する瞬間を「啐啄同時」と言います。
親鳥が雛が十分に成長する前に外から殻を破ってしまったら、準備が整う前に外界に出てしまった雛は、無事に成長できるのでしょうか。時期尚早とばかりに、過酷な運命をまねくこともあります。
逆に親鳥がいつまでたっても殻をつつかなければ、雛は自ら殻を破る力を身に付けることができず、最悪の場合、殻の中で力尽きてしまうかもしれません。
理想的なのは、「啐啄同時」であり、雛と親鳥の殻をつつくタイミングがちょうど同じであることです。早すぎず、遅すぎず、適切なタイミングで成長を促すことが重要です。
この言葉は会社の中でも通用します。上司・先輩が技術や知識を教えることは重要ですが、もっと大切なのは、部下・後輩が、あと一歩で殻を破る力を持っていることを見逃さず、どこを破ればいいのかをそっと示して、適切なタイミングで成長を促すことです。その際、待つだけでなく内側から刺激を与えることも必要です。
そのためには常日頃から部下・後輩をよく見ることが大切です。
日常的に部下・後輩を注意深く観察し、相手の良い点を「美点凝視」で見つけ、成長のサポートをしていただければと思います。
皆さんいかがでしたでしょうか。今回は「厳愛と慈愛」について事例を用いて、深堀した内容を書きました。
我々つばさホールディングスグループは「仲間が先、自分は後。…」のグループ理念の通り、人を大切にしていくことを掲げています。その掲げたものが事実になるかは会社としての姿勢はもちろんのこと、従業員一人ひとりが日頃から意識していくことが大切だと思います。
ですので、皆さんも日頃から「厳愛と慈愛」を意識して業務にあたっていただきたいと思います。